独自のメタサーフェスでテラヘルツ光渦を生成 -メタサーフェスのテラヘルツ光源アレーへの搭載指針の構築の進捗を国際会議の基調講演(Keynote Speech)で発表-

独自のメタサーフェスでテラヘルツ光渦を生成
-メタサーフェスのテラヘルツ光源アレーへの搭載指針の
構築の進捗を国際会議の基調講演(Keynote Speech)で発表-

 国立大学法人真人线上娱乐大学院の安川昂秀氏(修士課程2年)、山森駿司氏(研究当時、修士課程在籍)、鈴木健仁准教授(工学研究院、JST創発研究者)、国立大学法人弘前大学大学院の朝田晴美助教(理工学研究科)による共同研究チームは、独自のメタサーフェス(注1)によるテラヘルツ光渦(注2)生成素子を実証しました。現在進めているメタサーフェスのテラヘルツCW光源アレーへの搭載指針の構築に向けた研究の一環として推進されました。テラヘルツ波分野で最大級の国際会議(注3)の基調講演(Keynote Speech)に選ばれ、安川昂秀氏により発表されました。

本研究成果は、パース(オーストラリア)で開催される国際会議The 49th International Conference of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz 2024)にて基調講演(Keynote Speech)として発表されました。
発表タイトル: Terahertz vortex metasurface for integration into compact terahertz continuous-wave sources
著者 Takahide Yasukawa, Shunji Yamamori, Harumi Asada, Takehito Suzuki*
発表日時: 現地時間2024年9月3日13:30~14:00(日本時間2024年9月3日14:30~15:00)


 テラヘルツ波を利用した通信は、次世代の 6G通信や7G通信での使用が大きく期待されています(図1)。本共同研究チームは、アレー化されたテラヘルツ連続発振(CW)光源にメタサーフェス(注1)による光学素子を搭載し、テラヘルツ通信で使用していくための指針の構築を進めています(図2)。テラヘルツCW光源としては、共鳴トンネルダイオード(RTD)や量子カスケードレーザ(QCL)などを想定しています。これまでに光源1個+アンテナ1個、光源1個+アンテナ1個+円偏波生成素子1個などを実証してきています。今回の国際会議(注3)での基調講演(Keynote Speech)では、光源アレー+アンテナアレー+光渦生成素子アレーの構想の進捗を発表するとともに、まずは平面波を光渦(注2)に変換する光渦生成素子1個を実証しました。本研究チームが実証したメタサーフェスによる平面状で薄型の光渦生成素子をアレー化して、テラヘルツCW光源アレーに搭載することで、様々な光渦を生成でき、次世代の6G通信や7G通信の大容量化に大きく貢献できます。
 作製した光渦生成素子は厚さ264マイクロメートル(1マイクロメートル=1000分の1ミリメートル)です。厚さ50マイクロメートルのシクロオレフィンポリマーフィルムの表と裏の両面に対称に銅のワイヤーを配置したメタサーフェスを、接着シートを用いて4枚積層することで実現しました(図3)。作製した光渦生成素子に平面波を入射すると、光渦特有のドーナツ状の電界強度分布を持つテラヘルツ波(図4)へと変換されることを実験で確認しました。
 本研究の一部は、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(JPMJFR222I)、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤(B)(21H01839)、科学研究費補助金基盤(B)(24K01376)、公益財団法人中部電気利用基礎研究振興財団の支援により行われました。



図1 次世代の6G通信や7G通信のイメージ



図2 光源アレー+アンテナアレー+光渦生成素子アレー



図3 作製したトポロジカルチャージm=+1の光渦生成素子1個 大きさは40ミリメートル×40ミリメートル



図4 生成したトポロジカルチャージm=+1のテラヘルツ光渦の電界強度分布の実験結果



用語説明

注1 メタサーフェス
原子より大きいが電磁波の波長に対しては小さなサイズの構造体を原子や分子に見立てて配列することで、自然界には存在しない電磁的性質(誘電率、透磁率)を実現できるスーパー材料(メタは“超”の意味)のこと。

注2 光渦
らせんの形をした電磁波のこと。平面内で0から360度までの位相の変化が何回起きるかを表すmはトポロジカルチャージと呼ばれている。ここではトポロジカルチャージの正負は、受信側から時間変化で見て、時計周りの場合には正、反時計周りの場合には負としている。それぞれのトポロジカルチャージごとに情報を乗せられ、混じりあうことはないため、通信を大容量化できる。

注3 
International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz)は、赤外線、ミリ波、テラヘルツ波分野に関する世界最大級の国際会議。2024年はパース(オーストラリア)で9月1日~9月6日に開催される。




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 真人线上娱乐 大学院工学研究院
 先端電気電子部門 准教授
 鈴木 健仁 (すずき たけひと)
 TEL/FAX:042-388-7108
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 弘前大学 大学院理工学研究科
 電子情報工学コース 助教
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