2022-02-04 工学部化学物理工学科 長津雄一郎研究室「ビスコスフィンガリング」

今日は、「化学液体力学研究の創出?推進とエネルギー分野の社会実装の挑戦」を掲げ、化学反応を伴う液体の流れを研究している工学部化学物理工学科の長津雄一郎准教授の研究室を見学させてもらったワン。

さっそく、生物システム応用科学府 修士2年の学生さんが実験の準備をしていたところを見せてもらうワン。
学生さんの肩に乗っているのは、長津研究室のマスコットキャラクター「フィンガーくん」。
学生さんの実験を応援しているワン!

この機械は「界面粘弾性測定システム(界面レオロジー)」。
なんと日本の大学ではこの1台しかないとても貴重なものだワン。
学生さんが取り付けている小さなパーツ1つでも、数十万円もするそうだワン。

界面は、気体?液体?固体の相が別の相と接している境界面。
たとえば、液体と固体が接しているときの接触部分のことだワン。
粘弾性は、スライムみたいなゲルが持つ粘りと弾力のことだワン。

境目部分の粘りと弾力が測れる機械で、なにを調べるのかワン?
学生さんにお話を聞いてみたワン。

動画2枚目は、2枚のガラス板の間に、粘り気のある液体(透明)を満たし、そこに水のように粘り気がない液体(水色)を流し込む様子。
水色の液体が、指みたいな形に広がっているワン。
丸く広がらないなんてびっくりだワン。
これが、学生さんが研究している「ビスコスフィンガリング(Viscous fingering)」という現象!
2つの液体の接しているところで化学反応が起きるので、丸くならずに指みたいに広がっちゃうワン。
フィンガーくんは、この現象から生まれたキャラクターだワン。

学生さんは、粘り気のある液体に高分子溶液、粘り気のない液体に硝酸鉄溶液という鉄の溶液を使って、高分子溶液のpHを変えると、ビスコスフィンガリングの形がどう変わるか調べているワン。

高分子溶液と硝酸鉄溶液が接すると、その境目で化学反応が起こるワン。
化学反応でできあがるのは、スライムみたいな粘り気と弾力(粘弾性)のあるゲル。
高分子溶液のpHを変えることで、化学反応の速さやゲルの粘弾性が変わるから、ビスコスフィンガリングの形が変わるんだワン。
そのゲルの粘弾性を測るために、界面粘弾性測定システムを使っているんだワン。

学生さんの研究で分かったことは、高分子溶液のアルカリ性が強い(pHが大きい)方が、ゲルの粘弾性が強くなり、ビスコスフィンガリングの指が太くなること。
反対に、高分子溶液の酸性が強く(pHが小さく)なると、ゲルの粘弾性が弱くなって、ビスコスフィンガリングの指が細くなるワン。
写真3枚目は高分子溶液のpHが大きいもの、写真4枚目はpHが小さいもの。
pHの違いだけで、こんなに変わるなんて、不思議だワン!

学生さんは、未知のものを研究できるおもしろさに魅力を感じて、長津先生の研究室で学びたいと思ったそうだワン。
ハッケンコウケンも、ビスコスフィンガリングの不思議をもっと知りたくなったワン!
来週は、ビスコスフィンガリングのシミュレーションの研究を紹介するワン。

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