2022年度TAMAGO採択課題
新規機能性脂質の生理的意義の解明と機能性評価
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研究代表者:?宮本 潤基 准教授
(農学研究院?応用生命化学部門)
?「NoveLipid 研究チーム」
近年、新たに同定された生体内脂質は、代謝改善や免疫調節など様々な生体恒常性維持に関与することが示唆されており、新規機能性脂質として注目を集めています。また、新規機能性脂質は様々な結合様式や多種多様な脂肪酸の
組み合わせを示すことなどが明らかにされており、それぞれの構造の違いによって生体恒常性に及ぼす影響も異なることが示唆されていますが、詳細には明らかにされていません。
本研究では、新規機能性脂質の生体恒常性に及ぼす影響に着目し、様々な栄養環境下における新規機能性脂質の生理的意義の解明を目指します。本研究成果は、産業応用?社会実装への応用、これまでにない新たな機能性食品の開
発、さらにはSDGsの課題「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「海の豊かさを守ろう」などを中心に貢献することが期待できます。
「NoveLipid 研究チーム」メンバー
?宮本 潤基 | 准教授(テニュアトラック) | ?農学研究院 応用生命化学部門 |
?岡田 洋平 | 准教授? | ?農学研究院 応用生命化学部門 |
?馬谷 千恵 | 助教? | ?農学研究院 応用生命化学部門 |
?津川 裕司 | 准教授(テニュアトラック)? | ?工学研究院 生命機能科学部門 |
子宮外培養システムによる『新奇家畜生産技術』の創出
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研究代表者:?杉村 智史 准教授
(農学研究院?生物生産科学部門)
?「人工子宮」
乳?肉用牛生産において、ゲノミック評価、環境負荷低減、高付加価値化といった、畜産イノベーションの主翼となっているのが、生殖補助技術(Assisted Reproductive Technology: ART)です。この基盤となっているのが、体外で胚を作出し、それを借り腹牛に移植し、産子を得る、体外胚生産-胚移植(in vitro production and embryo transfer: IVP-ET)です。
しかしながら、IVP-ETの成功率は30-50%程度と低率で、特に、借り腹牛へ移植したIVP胚の約60%が受精後28日以前に死滅します。これを早期胚死滅と呼びますが、その全容解明には至っていません。
本研究では、生体内の子宮環境を模倣した、人工子宮内で胚を長期間体外培養する新技術を開発することで、早期胚死滅の原因解明、さらには、そこで得られた知見を応用することで、新奇の家畜生産技術の創出を目指します。
「人工子宮」メンバー
?杉村 智史 | 教授 | ?農学研究院 生物生産科学部門 |
?宮本 潤基 | 祷教授(テニュアトラック)? | ?農学研究院 応用生命化学部門 |
?吉野 大輔 | 准教授? | ?工学研究院 先端物理工学部門 |
シルクタンパク質を基盤とした新規培養肉の創出
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研究代表者:?中澤 靖元 教授
(工学研究院?生命機能科学部門)
?「次世代シルク培養肉総合研究チーム」
世界の人口は増加傾向にあり、2050年には97億人を超えると予想されています。この急激な人口増加に伴い、食肉をはじめとしたタンパク質の供給不足が懸念されています。そこで本研究では、カイコが生産するシルク関連タンパク質を用いた新規な食肉用材料の開発と作製手法を確立することで、人類が解決すべき
喫緊の社会課題解決に挑みます。
目的を達成するために私たちは、本学のルーツであるシルクと最先端技術を融合し、工学的視点から緻密な分子設計に基づいた材料開発を実施するとともに、ウシ組織からの関連細胞の単離?構築や食物の組織学的解析、安全性評価等を行う農学的視点からの研究を有機的に結合した「農工融合研究」を強力に推進することで、これまでにない先駆的な培養肉を開発し、社会実装したいと考えています。
私たちは将来、安価で安全、大量生産可能な新規培養肉の本格的な社会実装の達成を通じて、世界の食料問題やタンパク質危機、また畜産環境問題に貢献することを目標としています。
「次世代シルク培養肉総合研究チーム」メンバー
?村上 智亮 | 准教授 | ?農学研究院 動物生命科学部門 |
?中澤 靖元 | 教授? | ?工学研究院 生命機能科学部門 |
?秋岡 翔太 | 助教? | ?工学研究院 生命機能科学部門 |