2022-02-10 工学部化学物理工学科 長津雄一郎研究室「ビスコスフィンガリングの抑制を利用する石油の回収プロセスの創出」
工学部化学物理工学科の長津雄一郎准教授の研究室で、生物システム応用科学府 修士2年の学生さんが実験している様子を見せてもらうワン。
学生さんとハッケンコウケンが見ているのは、白いガラスの粒がいっぱい入ったガラス管。
写真2枚目が分かりやすいワン。
ここに高分子溶液を入れ、そこにさらに左側から水を流して、その様子を観察しているワン。
学生さんの研究は、石油の回収に関するもの。
この実験装置が石油とどう関係あるのかワン???
?
みなさんは、石油が取れる油層っていうとどんなイメージだワン?
ハッケンコウケンは、地下に石油がちゃぷちゃぷ入ったプールみたいな層があって、そこに太いストローみたいな機械を入れて、吸い上げてると思っていたワン。
でも、実際の油層は、砂や岩の隙間を石油が満たしているんだワン。
これじゃストローで吸い上げられないワン。
そんなところにある石油、どうやって採っているんだワン?
回収の方法の1つが、水などの液体を入れて、石油を押し出す方法。
熱を使う方法もあるけど、省エネ化の流れで、液体を使う方法が注目されているワン。
水を入れて押し出すときの問題が、長津先生たちが研究している「ビスコスフィンガリング」。
ビスコスフィンガリングがどんなものかは、先週金曜日の投稿で紹介しているワン。
粘り気の高い石油の層に、粘り気の低い水を入れて押し流すと、石油と水との間でビスコスフィンガリングが起こり、きれいに押し出せず、油層にある石油の半分くらいまでしか回収できないワン。
もったいないワン。
水よりも押し出す力が強い高分子溶液を使う方法もあるけど、高分子溶液は高価だからできるだけ使用量を少なくする方が経済的だワン。
そこで、学生さんが取り組んでいるのは、石油を押し流すために使用する高分子溶液の量を少なくし、高分子溶液のさらに後ろから、水を流して石油を効率的に押し出す方法。
高分子溶液と水との境目でも、やっぱりビスコスフィンガリングができちゃうので、それを抑える方法を研究しているワン。
というわけで、この装置のガラス管は油層、細かいガラスの粒は砂や岩を模していたんだワン。
学生さんは、高分子のpHなどの性質を変えることで、水との反応を制御し、ビスコスフィンガリングを起こさない方法を調べているワン。
先週金曜日に学生さんに見せてもらったビスコスフィンガリングの動画は、ガラス板に挟まれた薄い平面で観察した様子だけど、油田でビスコスフィンガリングが起こる場合は、平面ではなく3次元で起こるので、重力の影響なども考慮する必要があるワン。
3回にわたって紹介したビスコスフィンガリングの研究、基礎研究から応用研究まで、どれもとってもおもしろかったワン!
学生さんたちに見せてもらったもの以外にも、長津先生たちは、動画3枚目のようにカタツムリのような形で広がる条件や、動画4枚目のように千切れながら広がる条件など、ビスコスフィンガリングに関わるいろんな発見を発表しているワン。
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